JSSA システム監査学会
  

第21回公開シンポジウム 講演要旨

(2008/9/19 updated)


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第21回公開シンポジウム

統一論題
「経営インフラを支えるシステム監査−ビジネス改革・内部統制から工事進行基準まで−」
"Systems auditing as a basic factor in the management
 - Business Renovation and Internal Control, Merging into Completion
Percentage Method for Long-term Contracts -"


講演要旨一覧


<基調講演>
 「セブン-イレブンのビジネス改革と情報システム」
  "Business reform and information system of Seven-Eleven"
                  (株)セブン&アイ・ホールディングス 執行役員                  

システム企画部CVSシステムシニアオフィサー   佐藤 政行  氏 


 「新総合生活産業」の創造に取り組むセブン&アイ・ホールディングスの中で、セブン-イレブン・ジャパンはコンビニエンス事業の中核企業として、グループ全体のビジネス改革に大きな役割を果たしている。少子・高齢化の進展、食の安全への意識の高まり等、小売業を取り巻く環境変化に対して、セブン-イレブンではビジネス改革をどのように進めてきたのか、および改革を支える情報システムの特徴について、紹介する。
 あわせて、2004年秋〜2007年春にかけて構築した「第6次総合情報システム」や「nanaco」のサービスについて解説する。この構築を通して、日本版SOXの適用を踏まえ「ITに係わる全般統制」に対し、ITマネジメントやプログラム開発等、どのように対応してきたのか、要点を説明する。


<講演1>
 「取締役と監査役監査」
  "Directors and Corporate Auditors' Audit"
中外製薬(株) 常勤監査役  松本 茂外志  氏 
 
 取締役会は会社の業務執行を決定するとともに取締役の執行を監督する機関である。それに対し、監査役は取締役の職務を監査する機関である。周知の通り、監査役の権限・機能については、重大な企業不祥事が起きるたびに改正が繰り返されてきている。そこで、現時点での会社法における監査役の職責および監査役監査についてレビューしてみる。次に、効率的、効果的監査役監査の進め方として、内部監査部門や会計監査人との連携について述べる。というのは、監査役は少人数で監査を実施するため、行動範囲は自ら限定されるので、他部門との連携がきわめて重要と考えるからである。ここでは、システム監査と監査役監査についても私見を述べてみたい。最後に、実例として、中外製薬の監査役監査について報告する。取締役と監査役との連携は協調関係と緊張関係という相反する微妙な関係で成り立っている。どちらが優位になっても困るわけである。その実態が皆さまに少しでも伝われば幸いである。


<講演2>
 「みずほ銀行のシステム監査への取組み」
  "System Audit in Mizuho Bank"
(株)みずほ銀行 業務監査部 IT・システム監査室 参事役  椛澤  守  氏 

 金融機関は、情報システムを安定的に運用して、信頼される金融サービスを提供することを要請されている。信頼される金融サービスを提供するためには、IT内部統制を整備すると共に、システム監査によってそれを担保する必要があり、システム監査の役割は、年々、重要性が増してきている。本講演では、弊行におけるシステム監査への取り組み状況を説明する。内容としては、まずシステム監査の組織・態勢を説明した後に、「継続的モニタリング」「リスクアセスメント」「監査計画」などの監査フレームワークおよび、「経営戦略とIT戦略の整合性」などの監査における主要な着眼点を説明する。併せ、個別監査の実務として計画策定からフォローアップまでの一連の流れを説明する。これらの説明においては、必要に応じて、弊行におけるシステム監査の変遷や今後の展望も交えることとする。


<講演3>
 「内部統制整備の今とこれから−内部統制構築・整備の実態と問題点・課題」
  "The realities and problem of internal control construction and maintenance"
(株)エムアンドシー 代表取締役社長/公認会計士  小倉 親子  氏 

 内部統制の構築・整備の現場において、主に中小規模の上場会社が直面している課題や問題点について報告する。内部統制の構築・整備を行うにあたって、導入が進む会社と進まない会社の違いや監査法人との協議を通じて発生する問題点、重要な欠陥を是正するための方策など、J-SOX対応のためのコンサルティングを行っている視点と監査を行う会計士としての視点から、問題点を整理し、中小規模の会社に適していると思われる解決策を解説する。


<講演4>
 「IT業界にとっての工事進行基準とは・・・ 〜その影響と対応策〜」
  "On the Impact and Provision of the Completion Percentage Method for Long-term Contracts in IT Industry"
NPO法人埼玉ITコーディネータ 副理事長  古川 正紀  氏 

 2009年4月から、ソフトウェア開発へ工事進行基準が適用される。 本講演では、進行基準のわかりやすい解説に加え、従来の完成基準から進行基準へ移行する際の課題や検討ポイント:見積精度の向上、原価実績把握、プロジェクト進捗管理の精緻化、契約行為の見直し等について、IT業界に及ぼす影響を機軸に説明する。
 実務担当者の方々の具体的な作業としては、本年度から導入される、内部統制規制や四半期開示制度への影響を考慮しつつの対応となりますので、できるだけ事例を交えながら解説する。


<講演5>
 「工事進行基準の適用上の留意点〜会計・監査の観点から」
  "On the Consideration of Applying the Completion Percentage Method for Long-term Contracts in perspective of Financial Audit"
優成監査法人  公認会計士  狐塚 利光  氏 

 2007年12月に企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」が公表された。これにより原則として2009年4月1日以後開始する事業年度より、工事収益の認識については工事進行基準によることが原則とされた。当該基準は、受注製作のソフトウェアについても工事契約に準じて適用することとされている。
 本講演においては、工事進行基準を受注製作のソフトウェアについて適用する際の会計上の留意点について解説を行うものである。なお解説においては、適用する企業側の視点だけでなく、会計監査を行う立場の視点を交えてその適用上のポイントを解説する。


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