
【開催趣旨】
VUCA(Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguity)という言葉で表現されるように、近年の組織・企業等を取り巻く環境は、変動性・不確実性・複雑性・曖昧性が交錯しています。このような環境において組織・企業等が競争力を維持して持続的成長を遂げるためには、柔軟性と俊敏性を備えたITシステムが必要不可欠なツールとなりますが、その実現においては、前提となるITガバナンスの構築・運用と、ITシステムの有効性やリスクを第三者の視点から客観的に評価するシステム監査の実施が極めて重要な役割を果たします。
本シンポジウムでは「VUCA時代のITガバナンスとシステム監査」をテーマに、研究者・実務家・システム監査人がこれからのガバナンスと監査のあるべき姿についての新たな知見を共有し、混沌とした時代を生き抜くためのヒントと実践的なアプローチをともに考えていきたいと思っております。
また、本シンポジウムでは一般公募による研究成果の発表も行います。本学会会員に限らず、コンピュータ・サイエンス、ガバナンス、情報システムの企画・開発・運用、情報セキュリティ、リスクマネジメント、内部監査、会計監査、外部監査・認証など、多岐にわたる分野の専門家の参加をお待ちしています。
【プログラム】午前の部
| 9:40-9:45 | 開会 |
| <研究発表(午前1)> コメンテーター: 高崎商科大学 荒牧 裕一氏 | |
| 9:45-10:10 | 金融機関におけるサプライチェーンのサイバーレジリエンス:可視化とシステム監査の新たな視点 Supply Chain Cyber Resilience in Financial Services: Innovative Frameworks for Visibility and System Auditing 報告者:神橋 基博氏(情報セキュリティ大学院大学) 金融機関が提供するITサービスは、外部委託先、クラウド事業者、API接続先など多様な外部リソースに依存しており、これらのサプライチェーンに対するサイバーリスクが顕在化している。特に、近年における不正出金事例は、外部接続先の脆弱性が顧客に被害を及ぼすことを示している。本発表では、先行研究や関連ガイドラインを踏まえ、サプライチェーンの構造を可視化する手法、及び、サイバーレジリエンスを評価する枠組みを提案する。また、システム監査の観点から、経営層がリスクを定量的に把握し、意思決定に活用できる新たな視点を提示する。 |
| 10:10-10:35 | 生成AIとシステム監査に関する一考察 Study on Generative AI and System Auditing 報告者:赤尾 嘉治氏、木村 裕一氏、稲留 和紀氏、尾崎 孝章氏、 AIに関する功罪が多数議論されている中で、それらの論点を整理し、健全なAIの進展に向けての議論が必要と考えられる。また、システム監査の立場から、どのような関係性を持ち、課題を明確にして、システムチェックをするべきかを議論することも必要である。今後、特化型AIと汎用型AI、将来的には、人間と同等のレベルで実現できる能力を持つ AGIの登場も予想されている。AI活用において、課題解決と方向性への一助と考える試案を提示する。 |
| 10:35-11:00 | 組織知能への知識創造理論の実装 Implementing Knowledge Creation Theory into Organizational Intelligence 報告者:成田 和弘氏 (システム監査技術者、CISA、CIA) 近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)や生成AIの登場により、新技術の活用が組織の成長を大きく左右すると言われている。知識創造理論は、知識が人と人との関係性の中で流動し、個々人の経験と結びつきながら創造・生成され、組織として継続的に新たな知を生み出すことを示す理論である。新技術の活用も、人と人の関係や、個々人の経験と結びつくことがなければ、組織としての知にはなり得ない。組織知能は、組織の人間知能と機械知能(人工知能を含む)との交絡・集積・複合体をさす。本発表では、この組織知能に対して知識創造理論をいかに実装し得るかについて考察する。 |
| 11:00-11:05 | 休憩(5分) |
| <研究発表(午前2)> コメンテーター: 赤坂山王総合法律事務所 荒木 哲郎氏 | |
| 11:05-11:30 | 構造的視点を活用したリスク予測と助言による伴走型ITプロジェクト監査のアプローチ Approach to Integrated IT Project Auditing Using Structural Perspectives for Risk Prediction and Advisory 報告者:高垣 嘉英氏(公認内部監査人(CIA), ITストラテジスト) 監査の最前線で、プロジェクトの成功を支援するための新しい取り組みが求められています。本発表では、伴走型のITプロジェクト監査における新しいアプローチとして「構造監査」をご紹介します。従来のプロジェクト監査は、計画と実行の整合性に重点を置いていましたが、これだけではプロジェクトの成功を十分に保証できません。そこで、私はITプロジェクトの「構造的前提」に焦点を当てる新たな手法を提案します。このアプローチでは、定義の正しさ、合意形成プロセス、ステークホルダー間のコミュニケーションを重視し、リスク予測と助言を強化します。具体的な失敗例を通じて、構造監査の7つの原則を明らかにし、プロジェクトの成功確率を高めるための知的介在を論じます。この発表を通じて、監査の分野における新たな可能性を探求し、皆様のプロジェクト成功への道を切り拓く一助となることを目指します。 |
| 11:30-11:55 | AIガバナンス:AI倫理原則の適用に向けた三要素フレームワーク AI Governance: A Tripartite Framework for Applying AI Ethics Principles 報告者:中野 雅史氏(東洋大学総合情報学部) AIが社会に及ぼす影響に迅速に対応するため、本研究は企業におけるAIガバナンスを実現する三要素フレームワークを提案する。本フレームワークは、AI倫理原則、技術的実装、制度的ガバナンスから構成され、人間中心性、公平性、説明責任、透明性、プライバシー、安全性のAI倫理に関する六原則をデータガバナンス・アルゴリズム・自律性の三領域に展開する。本フレームワークを実務へ組み込むことにより、透明性とガバナンスを強化し、急速な技術変化に適応する責任あるイノベーションの基盤を提供する。 |
【プログラム】午後の部
| 13:00-13:05 | 開会挨拶システム監査学会 会長 島田 裕次 |
| 13:05-13:45 | <基調講演1> インシデントから見るITガバナンス IT Governance Revealed by Incidents 立命館大学 情報理工学部 教授 上原 哲太郎氏 システムトラブルやセキュリティ事故などが企業や組織の運営に影響を与えるほどの規模になる時、多くの場合にはITガバナンスの欠如が指摘される。本講演では、いくつかの事故事例を挙げてその中でどのようなガバナンス問題が生じていたのかを指摘する。 |
| 13:45-14:25 | <基調講演2> DX戦略におけるプライバシーガバナンスの実践 Practices of Privacy Governance in DX Strategies 弁護士法人第一法律事務所 DX推進の潮流の中でパーソナルデータを利活用した各種サービスが拡大しているが、個人情報保護法等の法令遵守は意識されてはいるものの、そのようなサービス提供に対する企業のガバナンス不全が懸念されている。 |
| 14:25-14:30 | 休憩(5分) |
| 14:30-15:10 | <基調講演3> 自治体におけるITガバナンスの展望 Exploring the Future of IT Governance in Local Governments 武蔵学園 データサイエンス研究所 副所長 本格的な人口減少社会の到来を見据え、行政機能のデジタル依存は着実に進行しています。一方で、大規模災害、システム障害、サイバー攻撃といったリスクへの備えや、人材・財政面での制約への対応は、自治体にとって喫緊の課題となっています。こうした中、自治体情報システムの標準化やガバメントクラウドへの移行、国・地方ネットワークの再構築といった動きは、自治体におけるITガバナンスの在り方を問い直す契機となっています。 |
| 15:10-15:15 | 休憩(5分) |
| 15:15-16:30 | <パネルディスカッション> VUCA時代のITガバナンスとシステム監査 IT Governance and Systems Audits in the VUCA Age パネリスト:公認システム監査人 速水 清孝氏 |
| 16:30-16:35 | 休憩(5分) |
| <研究発表(午後)>コメンテーター: 名古屋文理大学 吉田 洋氏 | |
| 16:35-17:00 | 進化的経営と監査モデルに関する一考察 Study an evolutionary of administration and audit model 報告者:深瀬 仁氏(「監査の適合性と実効性の検討」研究プロジェクト) デジタル化と環境変化に伴い、企業価値向上のためには、経営、管理、作業の3レベルで戦略を展開し、情報システムと評価がそれを支援している構造がある。評価では各レベルに応じて「診断」「監査」「検証」と区分され、業務効率化とコスト削減は同時に達成可能であり、アジャイル型経営と評価の連携が鍵となる。評価の進化は容易ではないが、経営の進化に対応する情報システムは多様化しており、監査がいままでの機能や役割を果たせるのかとの疑問に対する考察をする。 |
| 17:00-17:25 | 抽象から実践へ:「他人事にしない」ITガバナンス構築の課題と工夫 From Abstract to Action: Challenges and Innovations in Building "Owned" IT Governance 報告者:妻川 和佳氏(CISA、CRISC) ITガバナンスの構築は企業経営の要でありながら、その概念が抽象的であるため、多くの組織で「他人事」と捉えられがちです。また各事業部も、個々の業務について、急速に変化する社会への対応を求められるため、ガバナンスへの配慮が後回しになり、実効性が伴わないという課題に直面しています。本発表では、この抽象性を乗り越え、組織全体でITガバナンスを「自分事」として捉え、実践に繋げるための課題と具体的な工夫に焦点を当てます。公開されている事例や各種論文及び自身のコンサルとしての経験等を横断的に分析し、ITガバナンス構築時に見られる共通の課題(経営層のコミットメント不足、部門間の連携不足、IT投資のROIの見えにくさ、形式的な運用など)を抽出します。その上で、これらの課題を克服するための具体的な工夫を提案し、ITガバナンスを組織に深く根付かせ、実効性のあるものとするためのヒントを提供することを目指します。 |
| 17:25-17:30 | 閉会 |
司会:大会実行委員長 他
【開催要領】
| 開催日時 | 2025年11月29日(土) 9:40〜17:30 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 開催場所 | Zoomオンライン開催(期間限定オンデマンド配信付)
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| Zoom 接続方法の ご案内と 配布資料 ダウンロードサイトに ついて |
お申し込みいただいた方には、後日接続方法と、配布資料ダウンロードサイトの情報をPeatixからご案内します。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 定員 | 450名 (先着順) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 参加申込 | Peatixからお申し込みください。 →https://jssa-20251129.peatix.com |
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| 参加費 |
ご参加にはPeatix による事前申込みとクレジットカードでのお支払いが必要です。
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| 後援団体 (予定) |
一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC) NPO法人日本システム監査人協会(SAAJ) ISACA東京支部・名古屋支部・大阪支部・福岡支部 NPO法人日本セキュリティ監査協会(JASA) 日本ITガバナンス協会(ITGI) 一般社団法人日本セキュリティ・マネジメント学会(JSSM) 一般社団法人経営情報学会(JASMIN) 一般社団法人情報処理学会(IPSJ) 公益社団法人日本技術士会(IPEJ) 日本公認会計士協会(JICPA) 日本情報経営学会(JSIM) 一般社団法人日本内部監査協会(IIA-Japan) NPO法人ITコーディネータ協会(ITCA) 日本監査研究学会(JAA) 日本ガバナンス研究学会(JaGRA) 金融情報システム監査等協議会(FISAC) NPO法人情報システム監査普及機構(J-AISA) 人工知能学会(JSAI) |
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| 資格継続 ポイント について |
大会終了後、アンケートにメールアドレス、氏名を回答いただくと、受講証明をご指定のメールアドレス宛に電子メールでお送りしますので、受講証明をご希望の方はアンケートに回答いただくようお願いいたします。 ●専門監査人の業績ポイントは 5ポイントです(複数区分の資格を取得している場合は1区分のみ対象) ●日本公認会計士協会のCPDについては、研修登録番号を12/1までにアンケートで入力していただきます。 ●その他の団体の資格継続ポイントについては、所属する団体にご確認下さい。 |
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| イベント実行委員会 |
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| 主催 | システム監査学会 〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1-1-1 竃日学術フォーラム内 問合せフォーム https://www.sysaudit.gr.jp/toiawase/index.html |
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| 個人情報の取扱いについて | 申込時にご記入いただいた個人情報は、本会の運営管理目的外では利用しません。参加者リスト(氏名および所属)を講演者および大会関係者が閲覧することがあります。ただし、入手した情報を本大会の運営管理以外に利用することを禁止しています。個人情報の削除・訂正等を希望される場合は、学会事務局にご連絡ください。 |
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