JSSA システム監査学会
  

第30回公開シンポジウム 要旨

(2017/9/14 updated)


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情報化月間参加行事
第29回公開シンポジウムタイトル

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基調講演「人工知能の現状とこれから」
"Current Status of Artificial Intelligence and the Future"
国立情報学研究所 教授、総合研究大学院大学 教授、人工知能学会会長 山田 誠二氏
 現在真っ只中にあると言われている第三次人工知能ブームとは何か、これまでの人工知能AIと比較して、現在のAIの特徴は何かについて解説します。また、ディープラーニングを含む機械学習、特に教師あり分類学習や統計的機械学習の枠組み、そして人工知能が得意とする問題/不得意である問題についてお話しすることで、人工知能研究・人工知能システム開発の現状を把握します。また、現状の課題を踏まえた上で、それを乗り越えるために今後の日本の人工知能研究・開発が進むべき方向について、人間と人工知能が協調して一緒に問題解決を行う枠組みであるインタラクティブAIについて、その目的、方法論を紹介します。

特別講演「ビッグデータとAI時代のシステム評価」
"Big Data, AI and System Evaluation"
法政大学 理工学部 創生科学科 教授 玉井 哲雄氏
 ICTで取り扱われるデータの量は日々巨大化している。一方で、第3次のAIブームともいうべき現象が起きている。その中心の技術は、機械学習の一分野である深層学習である。深層学習はニューラルネットワークを用いるが、大量のデータから有用なパターンを学習して新しい状況での判断に活用するものであり、ビッグデータと不可分に結びついている。しかし、このような手法をベースとするシステムは、その品質評価に難しい要因をもたらす。
 ビッグデータとAIのもたらす大きな可能性と問題点を探る。

講演1
「財務諸表監査におけるAIの活用について」
"Adopting AI in a financial statement audit"

新日本有限責任監査法人 公認会計士  市原 直通氏
 AI (機械学習)を用いることで、データの中に隠されているパターンを見つけ出したり、従来人間が経験と勘で行っていた予測や評価を置き換えることが可能となった。
しかしながら機械学習には適用の前提やそれに伴う限界があり、その実務への適用にあたっては、業務の中で機械学習で解決可能な課題を上手く見つけて切り出すところに難しさがある。財務諸表監査においてこういった技術をどのように活かして監査の高度化、効率化を図ろうとしているのか、監査法人の取り組みを紹介する。

研究発表1
「企業におけるIT利活用動向の要因」
"Factors of IT use and utilization in companies"
情報セキュリティ大学院大学  神橋 基博氏
 企業の経営者は自社のITを評価するために、ベンチマーキングを用いて、同業他社や先進企業と比較する。企業におけるIT利活用は業種や企業規模によって違いがあることから、業種、企業規模、またはその他の要素がどの程度、影響を及ぼすかを明らかにすることは、ベンチマーキングにおいて有用な情報となる。
 本研究では日本情報経済社会推進協会(IPDEC)が実施した企業IT利活用動向調査のデータを多変量解析の手法を用いて分析することで、業種、企業規模、またはその他の要素が企業のIT利活用に与える影響を定量的に分析する。


研究発表2
「システム開発プロジェクトと監査のアジリティ」
"Agility of a system development project and audit"
システム監査技術者、CIA、CISA  成田 和弘氏

 ビジネスのスピードが加速した今日、システム開発プロジェクトの成功の鍵は、開発中の環境に応じて変化する、ビジネスニーズをいかに柔軟に取り入れることができるかにある。
 欧米では変化に柔軟に対応できる開発手法としてアジャイル開発が普及しているが、ユーザと開発者一体の体制による密接なコミュニケーションや、テスト駆動開発に代表される「テストが実施できるほど」明確な要件定義を前提とするため、IT技術者がITベンダに遍在し、ユーザ企業が外部委託に頼らざるを得ない我が国においては実施が難しく、特に大規模開発事例は少ない。
 わが国における開発プロジェクトのアジリティの向上と監査のかかわり方について、エンタープライズアジャイルプロジェクトの手法を参考に考察する。


講演2「システム品質保証と次世代検査技術」
"Quality Assurance for Artificial Intelligence system in Next Era."
日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 インダストリーソリューション
サービス&セキュリティー 部長 細川 宣啓氏

 昨今最も研究が不足している部分として、AIを組み込んだシステムの品質保証が挙げ られる。 本講演では、AIの品質をどのように保証するのか、各国の取り組みとともに講演者の 提唱する ソフトウェア欠陥研究の応用について事例を交えて紹介する。特に「日本人特有」で ある 「悪さの研究・学習」が世界的に注目される点について議論する。

 Although studies have made on AI system development, Quality Assurance or AI system is still controversial and unanswered. In this session, we’d like to discuss about how we should assure the quality of Artificial intelligence system, and to share the case studies what global researcher done before and things what little attention has been given to. After that, We’d like to share the software defect engineering technology (A.K.A “Evil Knowledge”) studies that the concern with has been growing.


講演3「システム監査の品質と課題」
"Quality and issues of systems audit"

日本大学教授 堀江 正之氏

 システム監査の「品質」について踏み込んだ議論がなされたことはない。そこで、本報告では、システム監査というサービスの品質をどのようにとらえればよいか、監査の品質の管理はなぜ必要かといったことを取り扱いたい。システム監査の品質は、それ自体が意味をもつことはなく、監査対象たるシステムの品質と結び付けて考えなければならないはずである。また、内部監査としてのシステム監査では、会計士監査にみられるようないわゆる「監査の失敗」という考え方が馴染まない面をもっている。これらの点を踏まえて、システム監査の品質について、その課題も含めて私見を述べてみたい。

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